紀の川市臨時災害放送局設置運営訓練≪報告≫

2024年11月10日、和歌山県紀の川市花野の紀の川市民体育館において、紀の川市総合防災訓練が実施されました。

WIDAと総務省近畿総合通信局は、この訓練の中で臨時災害放送局(以下臨災局)設置運営訓練を実施しました。

この訓練は、発災時、臨災局設置後の運営を想定し、災害情報をFM放送によって地域内へ、インターネットラジオ放送を通じて地域内外にも伝えるものです。

今回の訓練の目的は、実施自治体、地域住民や他の災害対応に関心のある関係者向けに臨災局やインターネットラジオ放送による広報が有益であることを周知することです。

FM放送機材と放送免許は総務省近畿総合通信局(以下、総通局)が提供し、その他の関連資機材調達及び関係者間の連絡調整、当日の放送進行をWIDAが行いました。


【訓練場所】 和歌山県紀の川市花野604-2 紀の川市民体育館駐車場
 【訓練期日】 2024年11月10日(日)
 【放送時間】 09:00~12:00(本放送は9:30~11:30)
       FM放送: 周波数77.2 MHz (出力10W)
       インターネット放送: https://fmplapla.com/rinsaikinki1
 【機材設置】 総通局、WIDA、エフエム和歌山の協力により設置
 【ゲスト出演者】 紀の川市危機管理部、近畿総合通信局放送部、紀の川市社会福祉協議会、紀の川市消防団女性分団、他
 【参加者】 出展者を含め、関係者、住民800名あまり


訓練のようす

   

   

    

成果

実施自治体である紀の川市の市長、職員とも意見交換をすることができ、訓練を通じて臨災局やその運営方法について認知度を高めるという、この訓練の目的は達成できたと考えられます。

課題

【技術的問題】電波による放送音声は明瞭で途絶もなく問題はありませんでしたが、インターネット放送が途中で数回切断し、また音声が安定せず、聞き取りにくいとの指摘がありました。

また、インターネットで聴取しようとしたときに、パソコン経由ではアクセスできなかったという指摘もありました。

【広報の問題】WIDAの臨災局サポーター登録者など、関係団体、個人への事前の周知が不十分でした。メール、Webページ、SNSなどでの広報をもっと早い段階から行うことで放送にアクセスできる人が増えたと考えられます。

当日、スマホでのアクセスの際、アプリのインストールを求められた場合と直接聴取できた場合があり、聴くための難易度に差がありました。アプリインストールが煩雑で、聴取者の利便性を損ねた可能性もあります。

  ■当日配布したチラシ
   

【その他の問題】臨災局設営ブースの近くに会場用広報用の大きなスピーカーがあり、放送に雑音が入ることがありました。配置について事前に十分な検討が必要でした。
 放送内容については、取り上げる話題など今後も検討していく必要があります。

今後の活動

自治体職員の発災時の余裕のなさや、諸課題の整理と臨災局の利用への有効度合いの理解不足が臨災局設置を妨げている要因の一つです。この問題を改善するには、臨災局の設置・運営を支援する地元密着型の情報化支援チームの編成と、定期的な訓練を通じた情報共有のしくみ作りが不可欠です。

災害時の広報体制を再度見直し、最新の情報技術や利用可能なメディアを考慮した地域防災計画の改訂、具体策の検討、自治体職員の行動、地域防災に関わる関係者のマニュアル整備と訓練があれば、災害時の広報体制の不足・不備を改善できると考えられます。